ご存知ですか?退職金を合理的に準備する方法

セカンドライフと老後資産

老後資産の合理的な準備方法について、皆さまはどれくらいご存知でしょうか。
今回のブログでは老後資産の準備方法について、保険マエストロの考え方を一部ご紹介いたします。

「人生100年時代」と言われる現代社会において、無事に勇退された後には、約30年のセカンドライフが待っています。
昔と違い現在では、現役時代以上に旅行や趣味に時間を割いて人生を楽しまれている方が多いのではないでしょうか。

また、理想のセカンドライフを実現するにはご自身の健康は欠かせません。それと同じく大切になってきますのが老後資金です。将来にむけて過不足のない蓄えをしておくことは、より良いセカンドライフを送るうえで必須条件となります。

以下に準備方法の一部を纏めましたので、ご覧いただけましたら幸いです。
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税金・社会保険料を軽減して老後資産へ

近頃、このような声がよく聞かれます。

経営者の声
・増大する社会保険料の負担が大きい。・残業代の負担が大きい。・退職金制度などの福利厚生が弱くて優秀な社員が入社しない。転職してしまう。・経費で利益が圧迫されるときがある。・利益の割にキャッシュフローが悪い。

・資金調達が難しい。

 

従業員の声
・給与から引かれる社会保険料が高い。・もっと待遇を良くしてほしい。・老後の生活設計が不安。・貯金がなかなかできない。

皆さんご存知のこととは思いますが、社会保険料は労使折半となります。
経営者としては社会保険料の増加は固定費の増加につながります。
従業員からすると手取りの減少につながるという不満があるようです。

社会保険料の種類と加入要件

労災保険
業務災害、通勤災害に関しては、農林水産の一部事業を除き、パート等にも適用されます。保険料は全額事業主の負担となります。パート等の負担はありません。

雇用保険
雇用保険に関しては、次の条件を全て満たす者はパート等であっても一般被保険者となります。保険料は、被保険者負担分を賃金から控除されます。(平成22年4月1日以降実施)

1.1週間の所定労働時間が20時間以上であること。

2.31日以上雇用される見込みがあること。

健康保険・厚生年金保険
平成28年10月1日以降以下5つの要件を全てを満たす短時間労働者(パート等)についても、新たに健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。

1.1週の所定労働時間が20時間以上であること。
2.雇用期間が継続して1年以上見込まれること。
3.月額賃金が8.8万円以上であること。
4.常時500人を超える被保険者を使用する企業に勤めていること。
5.学生ではないこと。

日本は国民皆保険制度・皆年金制度として社会保険が充実していますが法人・個人ともに日々のキャッシュフローにはあまり良い影響を与えてはいないようです。

選択制退職金制度

社会保険料を削減するための方法として選択制退職金制度があります。
この制度をお使いになれば、希望された社員・パートの方を対象に給与・賞与の一部を退職金積立に移転することができます。

法人における社会保険料削減金額

〈賞与の一部を退職金積立とした場合〉

賞与移転額(総額) × 約16% = 社会保険料削減金額

※厚生年金保険料率(18.3%)+健康保険料率(11.57%)÷2+雇用保険料率(0.6%)+労災保険料率(0.3%)=15.835%として算出しています。

〈従業員50名の場合〉

賞与移転額20万円 × 50名 = 1,000万円 × 16% = 160万円/年

〈従業員300名の場合〉

賞与移転額20万円 × 300名 = 6,000万円 × 16% = 960万円/年

 

個人の社会保険料負担の軽減効果

仮に賞与を18万円移転した場合
夫:年収500万円(給与30万円/月・賞与140万円)
妻:専業主婦 お子様:高校生17歳・中学生14歳

賞与として受け取る場合 選択制退職金制度にご加入の場合 差額
所得税 79,500円 73,500円 6,000円
住民税 168,200円 156,500円 11,700円
社会保険料 761,750円 734,327円 27,423円
合計 1,009,450円 964,327円 45,123円

このように選択制退職金制度をお使いになることで、労使合意の上で合理的に老後資産の積み立てへ回すことが可能となります。

さらに、退職金として受け取る際には以下の税制優遇も適用することができます。

退職所得控除枠をうまく活用する

退職金を受け取る際には税金がかかりますが、以下の計算方法の通り税制優遇がなされています。

  退職所得 = (源泉徴収前の退職金額 - 退職所得控除額)× 1/2退職所得控除額は以下となります。

勤続20年以下・・・勤続年数 × 40万円 (80万円未満の場合は80万円)

勤続20年超・・・800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

退職所得控除年数別一覧

勤続年数 退職所得控除額
10年 400万円
15年 600万円
20年 800万円
25年 1,150万円

退職金の非課税枠をうまく使うことで受け取る老後資金が変わってきます。事前に退職金の金額と控除枠の計算をされることをおすすめいたします。

 

パート社員の皆さまへのご提案

パートで働く方々の多くは、扶養範囲を気にされている方が多いというのが現状です。
「103万円、106万円、130万円の壁」などは耳にされたことがあるのではないでしょうか。

顕在化された声として、もっと働きたいけど扶養範囲を超えてしまうからこれ以上働けないなどという声もよく聞かれます。労使ともに「もっと働いてほしい」「もっと働きたい」という部分を選択制退職金制度を活用していただくことで解決することが可能となります。

経営者としては社会保険料の負担が軽減することに加え、優秀なパート社員に今より力を発揮する時間を提供し、十分な評価体制も整えることが可能になるのではないでしょうか。従業員満足度の向上の一助となり得る選択肢の一つとしてお考えください。

外国人労働者の皆さまへのご提案

外国人労働者の方々を採用されている法人において、社会保障協定国以外の諸外国労働者の場合、厚生年金に加入しても受け取ることができません。唯一、厚生年金の加入期間が6ヶ月以上であれば、脱退一時金という形式で受け取ることが可能ですが、36ヶ月が上限となっています。
このような場合にも、選択制退職金制度を使い社会保険料の支払いを軽減しつつ、退職後の資産の積み立てに回す方法をご検討なさってはいかがでしょうか。

事前準備として

選択制退職金制度の導入にあたり、必要になるであろう準備は以下です。

・従業員・パート社員へ向けての事前説明会
本制度を選択するかどうかは、従業員一人ひとりの判断となりますので事前に説明をする必要があります。

・給与規定等の取り決めおよび周知
給与・賞与の一部を退職金積立へ移転する旨の書面を社内で用意しておくことが必要となります。

 

まとめ

選択制退職金制度を活用いただくことによって、経営者と従業員の双方が抱える問題を解決できるきっかけとなるかもしれません。結果として、生産性も上がり、従業員満足度もあがる、などということも考えられます。
もし、社会保険料の負担増にお悩みの経営者、もしくは従業員の方、その他、パート社員や外国人労働者を多く採用されておられる経営者の方におかれましては、一つの方法としてご検討いただいてはいかがかと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

退職金の考え方については過去の記事をご覧ください。

退職金を考える際に、考えなければいけない3つのこと