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変動金利なら+1万円の支払い意識すべし
前回に引き続き、住宅シリーズ第2弾をお送りいたします。
前回は住宅購入をローンで購入する際にまず考えるべき点について書きました。
住宅ローンが低金利時代を迎えている昨今。
バブル期に比べ、金利が下がり続けており、住宅購入を検討する方にとっては非常に追い風となっています。
しかし、低金利だからといって勢いだけで住宅購入をするのは危険。
特に変動金利の場合、今後の金利上昇も検討しておかないと将来大変な思いをすることにもなりかねません。
コロナにより、景気悪化を経験している今だからこそ、リスクに備えた支払い計画を検討することが重要です。
今回は、正しい変動金利の組み方・向き合い方について解説していきたいと思います。
金利の仕組みと総支払い額について検証
住宅購入を検討する際に「このエリアの土地なら安そうだね」「建物は○○万円くらいが良いかな?」など、どうしても土地や住宅の価格だけに目がいきがちです。
しかし、住宅ローンの借り方、返し方についてもきちんと把握しておかないと、結果として大きな支払い金額になることもあります。
例えば、3,000万円を35年間、金利1%で借りた場合と金利2%で借りた場合、どれくらいの支払金額に差が出るかお分かりでしょうか?
金利1%の場合、総支払い額は3,557万円
金利2%の場合、総支払い額は4,174万円
その差は617万円にもなります。
35年間というスパンで考えると大きな金額ですね。
家づくりにおいて「食洗機をつけようかどうか」といったレベルの金額差ではないですよね。
住宅価格の検討も大事ですが、上記の内容を知ると住宅ローンの組み方によっても家計に与える影響が大きいことが分かりますね。
「変動金利」と「フラット35」だと金額差はどのくらい?
次に変動金利と全期間固定金利「フラット35」について考えていきましょう。
近年では、住宅ローンを扱う民間金融機関が0.5%を下回る金利を打ち出しています。
フラット35も1%前半を推移しており、どちらも借りやすくなってきています。
しかし、ここでも金利差が生じており、どのくらいの違いがあるかシミュレーションしていきます。
例えば、3,000万円を35年間借りた場合、
変動金利で0.5%と想定すると毎月の返済額は約7.8万円
フラット35で1.31%(2020年8月時点)と想定すると約8.9万円
同じ借り入れ金額でも月々の返済額は1万円以上の差になってきます。
そうすると、「やはり、支払い金額が安いから変動金利にしよう」と考える方も多いと思います。
もちろん、この考え方は間違いではありません。
問題となるのは、その支払い計画にあります。
変動金利での返済額がギリギリなら黄色信号
仮に、現在変動金利で月10万円支払っていたとします。
その月10万円の支払いが生活していく上で、ギリギリの場合は気を付けなければいけません。
数年が経ち、もし金利が上昇してしまったら当然ですが家計は赤字になります。
今後、金利が上がらない保証はどこにもありませんし、上がる時期を自身で操作することも出来ないので注意が必要です。
その他にも
・残業代が減って収入が減ってしまったら?
・子どもが増えて食費が上がったら?
・子どもが私立に行って教育費が上がったら?
など、生活する上で支出が増えるリスクも考えていかなければいけません。
つまり、「月10万円ならギリギリ支払えるから、金利も安いし変動金利にしよう」という安易な判断は危険です。
固定金利で支払っているのであれば、今後の金利上昇リスクは考慮しなくて良いのでその点は安心。
しかし、変動金利はそうはいきません。
+1万円の返済額で家計管理を
住宅ローンを変動金利で返済している場合のオススメの支払い方は「+1万円上乗せして返済すること」。
もちろん、金融機関に1万円余分に支払うことではありません。
例えば、月10万円返済しているのであれば、11万円支払っているつもりで家計管理をすることです。
なぜなら、金利が上昇しなければ月1万円の貯蓄が出来ますし、上昇してもその1万円で対応出来る家計になるからです。
もう少し具体的に言うと、住宅購入を検討するときに月10万円までの支払いが可能であれば、「固定金利なら月10万円」「変動金利なら月9万円」といった住宅ローンの組み方が良いと思います。
そうすれば、もしもの金利リスクにも対応でき、安心して生活が出来るのではないでしょうか?
まとめ
いかがでしょうか?
決して変動金利が悪いわけではありません。
低金利で魅力的ですし、検討される方も多いと思います。
しかし、「固定金利での月10万円の返済」と「変動金利での月10万円の返済」を同列に考えるのは止めましょう。
変動金利の場合、金利上昇リスクに対する備えをしっかりと検討することが大切です。
「+1万円」の返済意識を持つことの重要性を理解できれば、家計が破綻するリスクを軽減出来るのではないでしょうか?
もちろん、「そもそも自分たちはいくらまで住宅ローンを借りられるのか分からない」という方も多いと思います。
そのようなお悩みを抱えている方はぜひ弊社にご相談ください。