住宅シリーズ①住宅ローンは「借りられる金額=返せる金額」ではない

住宅ローンは「借りられる金額=返せる金額」ではない

今回は人生で一番高い買い物と言われている「家」に関する記事です。
ぜひ最後までご覧いただけると幸いです。

住宅購入の際にお金の不安はつきものですよね。
特に住宅ローンでどのくらい借りられるのか気になる所。
銀行に相談に行けば、ある程度ご自身が借りられる金額を教えてくれるでしょう。

しかし、昨今の低金利で良くも悪くも「借りられる」時代です。
家族の幸せを実現するための家づくりなのに、無理な借入れをして不幸せになるのであれば購入するべきではありません。
今回は適切な「返済可能額」を理解するための基本的な知識を身につけていきましょう。

そもそも借りられる金額は何で決まる?

銀行に行き、住宅ローン審査をすれば借入れ限度額を教えてくれます。
では、どんな基準で審査されているかというと、大まかには「年収」「属性」「他の借入れ」によって判断されます。

「年収」はもちろんどれだけ収入があるかという点。
「属性」はどんな会社・勤め方をしているかを見られます。
正社員なのか派遣社員なのか、中小企業に勤務しているのか東証1部上場企業で勤めているかなど。
一般的に公務員や大企業などは属性が良い(お金が借りやすい)と言われています。

その他には車のローンやカードローン、リボ払いなどがあるかどうかもチェックされ、トータルで「あなたならこのくらいお金をお貸しできますよ」と教えてくれます。

実際にどのくらい借りられる?

例えば、年収500万円の方が「今住んでいる家賃が10万円だから月々の支払いも同じにしたい」と考えていたとします。
この場合、全期間固定金利「フラット35」で、金利1.3%・35年で月々10万円の返済計画だと3,372万円の借り入れであれば実現できます。

次に、年収500万円の方がMAXでどれだけローンが組めるかというとおよそ4,900万円となります(個人差あり)。
月々の返済額はなんと14.6万円。

「希望する返済可能額」と「借入れ限度額」はイコールにはならないことが多々あり、金額に大きな開きが生じます。

参考:フラット35計算サイト

何故借りられる金額が必ずしも返せる金額ではないのか?

「借入れ限度額」は約4,900万円と出ましたが、果たして問題なく返済が出来るでしょうか?
返済が可能かどうかは「各家庭によって異なってくる」というのが正しい回答となります。
なぜなら、収入が同じでも他の生活費が違えば、住宅ローンの返済に回せる金額が変わってくるからです。

例えば、同じ会社に勤める同期の男性社員が2人いたとします。
ともに年収500万円でこれから住宅購入を検討。
一方は子どもがおらず、夫婦2人家族。
もう一方は子どもが3人いて5人家族だとします。

このケースだと、同じ会社で同じ年収であればおそらく「借入れ限度額」はともに同じくらいでしょう。
では、「返せる金額」は同じでしょうか?

文部科学省が調査した平成30年度の子どもの年間学習費用は下記の通りです。

公立幼稚園 223,647円
私立幼稚園 527,916円
公立小学校 321,281円
私立小学校 1,598,691円
公立中学校 488,397円
私立中学校 1,406,433円
公立高等学校 457,380円
私立高等学校  969,911円

参考:文部科学省HP

世代や私立なのか公立なのかによってももちろん金額が異なりますが、子どもが多ければその分教育費は大きく増えるでしょう。

そうなると家計の支出は子どもがいるかどうかで大きく異なりますし、趣味に使うお金が多い家庭なのか、外食が多い家庭なのかでも変わってきます。

奥様の収入で家計の安定感が増大

ここまで支出についてご説明しましたが、世帯収入の違いでも返済可能額は変化します。
ご主人だけでなく、奥様の働き方によっても家計の安定感が異なってきます。
例えば、ずっと専業主婦の場合と、年間100万円をパートで稼ぐのとでは、35年間のローン返済期間でその差は3,500万円。
これはかなり大きな違いです。

ご主人が年収をすぐに50万円増やそうとするのはなかなか難しいと思います。
しかし、奥様がパートを始めて、新たに50万円を生み出すのは現実的ではないでしょうか。

まとめ

住宅購入をする際に、不動産屋や住宅メーカーの言われるままに住宅ローンの審査を出し、「借りられる限度額が○○万円だからその金額なら大丈夫」と安易に考えるのは危険です。
絶対にやめましょう。

確かに自分たちがどれくらいお金を借りられるのか把握することは大事です。
しかし、住宅ローンの返済金額だけでなく、食費や教育費、娯楽費など他の支出とのバランスを確認することが重要。
そこを理解した上で、初めて住宅にどのくらい資金を回すことが出来るかが分かります。
家族でそのことを共有して住宅購入を検討するべきです。

収入が月30万円で生活費が20万円の家庭であれば、月10万円のローン返済はギリギリ可能。
しかし、生活費が22万円の家庭なら月10万円のローンだと当然赤字です。

そうならないためには、家計改善が必要で、生活支出を抑えるには「固定費の見直し」がオススメ。
具体的には「通信費(スマホ代)」「自動車関連費」そして「保険」などが挙げられます。

自力で細かくシミュレーションを行うのは難しいと思うので、ご興味があれば是非弊社に一度ご相談ください。