生命保険でできる福利厚生プラン

生命保険と福利厚生

今回は生命保険でできる法人の福利厚生プランについてご紹介させていただきます。

昨今の会社経営において「人材不足」は喫緊の課題となっております。
育てた人材を流出させないために、社内の福利厚生を充実させて従業員の満足度を上げることは、企業経営としてとても重要な取り組みの一つとなっております。また、新たな人材確保のための他社との差別化要因にもなります。

従業員の満足度を上げるためには、給与を上げたり、ボーナスを出したりということが分かりやすく一番効果のあることかもしれません。ただし、これらを継続して実施していくには増収増益を続けていかない限り難しいのではないでしょうか。

最近の求職者・就活生の意見では、職場に求められる傾向として、給与面もさることながら、働きがいや人間関係、プライベートの充実などが上位を占めています。

これらは福利厚生とも密接に関連している部分ですので、福利厚生の充実=働きたいと思える会社と言えるのではないでしょうか。

福利厚生とは?

企業が、労働力の確保・定着、勤労意欲能率向上などの効果を期待して、従業員とその家族に対して提供する各種の施策・制度。主として従業員の生活の向上を支援する目的で実施されるもので、法律で義務づけられた法定福利社会保険料の事業主負担など)と、企業が任意で実施する法定外福利交通費社宅健康診断・育児支援・保養施設など)がある。   ※デジタル大辞泉より

一般的な福利厚生には以下のような項目が挙げられます。

  1. 社会保険
    正社員を登用する際には、企業はその人を社会保険に加入させなければならないことが義務付けられています
  2. 住宅手当や住まいに関する手当
    福利厚生の内、企業が最も資金を投入しているのが住宅手当や寮、社宅制度といった住宅関連となります。
  3. 休暇制度
    休暇制度についても福利厚生と呼ぶことができます。
    どの程度の日数の休暇が用意されているのか、どのような休暇制度があるのかに加えて、休暇の消化率、取得率なども対象となります。
  4. その他サービス
    保養所や飲食・レジャー関連の施設の割引。主にプライベートな部分に寄与しています。

福利厚生費は会社の経費として認められていますので、条件を満たしていればその費用を損金計上することができます。

生命保険での福利厚生プラン

ハーフタックス養老保険プラン

会社が役員・従業員を被保険者として生命保険に加入し、役員・従業員の家族を受取人とします。被保険者の役員・従業員に万が一のことがあった際には、弔慰金・死亡退職金として役員・従業員の遺族に保険会社が直接保険金を支払います。

また、養老保険は貯蓄性を兼ね備えておりますので、役員・従業員の退職金の積立としても準備をすることができます。

そもそも養老保険とは…

契約形態としては、

【契約者】法人
【被保険者】役員・従業員
【満期保険金の受取人】法人
【保険金受取人】役員・従業員の家族

となります。

この形態での加入により、生命保険料の半分を損金として計上することが可能となります。
メリット・デメリットは以下になります。

ハーフタックスプランのメリット

役員・従業員が個人で加入する保険を抑えることができる
会社が役員・従業員の生命保険を一部用意してくれることで実質個人で負担している保険料も削減することができます。福利厚生として、役員・従業員の皆さんへ周知をすることで会社への評価が上がる要因にもなります。

保険料を半分損金として計上ができる
福利厚生として認められれば、保険料を損金として計上することができますので、税効果も受けることが可能です。

合理的に役員・従業員の退職金等の積み立てができる
現在は円建て以外にも、外貨建てや変動金利型の運用商品もお選びいただけます。

ハーフタックスプランのデメリット

契約の際に、加入者全員の手続きが必要となる
申込の際に、役員・従業員一人ひとりに個別で申込・告知の手続きが必要となるため、お時間を頂戴することになります。(一括申込が可能な商品もあります)

保険料が会社のキャッシュフローを圧迫する可能性がある
従業員の退職金制度のような福利厚生の制度は、一旦整備したならば、基本的には撤廃するのは難しいと言えます。事前に保険料と財務状況を把握し、無理のない金額設定が必要になります。

解約時期が早いと損をする
役員・従業員が早期で退職してしまった場合には、解約返戻金の返戻率が低くい時期に解約となります。従業員の早期退職が頻繁にある法人では、制度の運用が難しくなります。

ハーフタックスプランにおける注意点

養老保険を福利厚生プランとしてご加入いただくための注意点をご紹介いたします。

普遍的加入であること。
基本的に役員・従業員の全員が均等に加入していることが必要となります。役員だけ保険金額が高すぎたり、従業員の中で加入していない方がいたりすると福利厚生として認められない可能性もあるのでご注意ください。
ただし、新入社員や転職間もない従業員は早期に退職するリスクもあるため、勤続年数など一定のルールを設けることにより、一部従業員の加入を除外することは可能となります。

弔慰金規定等の社内規定を整えておくこと。
保険金の受取人が「役員・従業員の家族」となっておりますので、実際に保険金の支払いが生じた際は、保険金は保険会社から遺族へ直接支払われることになります。その場合、保険金とは別に遺族が会社に弔慰金・死亡退職金を請求してくる可能性があります(二重請求)。
そのような事態にならない為にも、しっかりとした社内規定を作成し従業員へ周知して運用する必要があります。

実際の保険料例

円建て養老保険の場合
加入例:30歳 男性 保険金額:500万円 60歳満期

月払保険料 年間保険料 保険料総額 満期保険金 解約返戻金率
15,326円 183,912円/年 5,517,360円 5,000,000円 90.6%

外貨建て養老保険の場合
加入例:30歳 男性 保険金額:50,000米ドル 60歳満期

月払保険料 年間保険料 保険料総額 満期保険金 解約返戻金率
116.25米ドル 1,395米ドル 41,850米ドル 50,000米ドル 119.4%

上記は30歳男性の参考例となります。年齢や性別により保険料に違いがあります。また、解約返戻金の返戻率も変わってまいりますので、一度試算をされることをおすすめいたします。

その他の類似商品

中小企業退職金共済制度
「中退共」と略されることも多い国の制度です。ご自身の会社での退職金準備が難しい場合に、国の助成を受けながら退職金を準備できる制度です。
メリットとしては掛金の負担軽減措置掛金を損金または必要経費として全額非課税があげられますが、デメリットとして、事業主が受け取れないこと従業員への保障にはならない、その他にキャッシュが必要になった際に、積立金を途中で使うことができないなどがありますので、良く吟味していただく必要があります。

総合福祉団体定期保険
従業員および役員の死亡または所定の高度障害に対して支払う1年更新の定期保険で、企業の福利厚生規程による従業員等の遺族保障の支払財源の確保を目的としています。一定の加入条件(最低従業員数10人など)を満たせば加入できる商品となっております。

メリットとしては、加入手続きがとても簡単であることや保険料が安いなどがあげられます。デメリットとしては貯蓄性能がない原則年に1回しか加入・脱退ができない1年更新型のため保険料が毎年見直されるなどがあげられます。

まとめ

ハーフタックス全員養老プラン

・普遍的加入
・1/2損金計上ができる
・従業員の弔慰金の準備とともに退職金の準備ができる
・社内規定を取り決めておく

福利厚生の充実を図ることは、従業員の満足度を維持・向上させるに大切な取り組みではないでしょうか。その一つの手段として、生命保険を利用した福利厚生プランをご検討いただければ幸いです。