公的保険について-医療編-

公的保険について-医療編-

このブログを ご覧いただいている皆さんは、生命保険をお考えになる以前に、公的保険にご加入されています。日本は、1961年に国民皆保険制度が確立されてから、国民全員が保険に加入するようになりました。さらに世帯での民間保険加入率は8割を超えています。(生命保険文化センタ-調べ)保険大国と呼んでも過言ではない日本ですが、未だに保険の内容を誤解されていたり、どのような目的で加入したのか理解せずに保険料を払っておられる状況を目にします。そこで、新たに保険をお考えになる前に 、現在加入されている公的保険を理解するくことが、より良い保険選びにつながると考えております。

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公的保険とは?

国が用意した保険制度のことを公的保険と呼びます。そして民間の保険会社で加入なさる保険は民間保険と呼びます。

公的医療保険

日本は国民皆保険制度の国てとして、生まれたときから全員が何らかの公的医療保険制度に加入します。会社員は勤務先の健康保険、自営業者ては国民健康保険の加入者となり、またその扶養内にあたる配偶者や子どもも同じ健康保険の加入者となります。

それぞれの公的医療保険加入先をまとめると以下になります。

公的医療保険 加入者 取扱機関
国民健康保険 自営業者など 地方公共団体
長寿医療保険 75歳以上の方 後期高齢者医療広域連合
健康保険 民間企業の方 協会けんぽ
健康保険組合
共済保険 公務員・教職員 各種共済

公的医療保険で何が受けられるのか?
公的医療保険加入者の証として皆さんお持ちの健康保険証。このカードで受けられるサービスにどのようなものがあるのか実際に見ていきましょう。

・医療費3割負担

医療機関を受診した際に窓口で支払う医療費の自己負担についてです。6歳(義務教育就学後)以上69歳以下の方は3割、70歳以上74歳以下の方は2割(70歳以上であっても現役並み所得者は3割)、75歳以上は1割(現役並み所得者は3割)未就学児の場合は2割負担となっています。ただし、市区町村などの自治体ごとに乳幼児医療費助成制度があり、子どもの医療費の全部または一部が助成されます。


出典:厚生労働省HPより

現役並み所得とは?
老後にも収入が多い場合には医療費負担額が現役と同じく3割負担となります。引退後も利子・配当・不動産などの所得がある方については3割負担となる可能性が高いです。


                                        出典:厚生労働省HPより

なお、業務中のケガや病気などで労災保険が適用された場合、治療に関する費用はすべて労災保険から医療機関に支払われますので、後述する高額医療費制度も含めて国民健康保険や健康保険の給付対象外となります。

・高額療養費制度

医療機関や薬局の窓口で支払う医療費についてひと月(毎月1日~末日まで)単位での上限額が定められています。その上限額から超えた額を支給する制度が「高額療養費制度」です。上限額は、年齢や所得に応じて定められています。

医療費がどれだけ高額になったとしても、高額療養費制度をお使いになると自己負担は少なくて済みます。

実際の自己負担上限額は下記となります。

70歳未満の方区分

70歳以上75歳未満の方の区分

出典:全国健康保険協会HPより

また、ひと月あたりでの上限額が決められている高額療養費制度ですが、3ヶ月連続該当した場合、4ヶ月目からは多数該当高額療養費として自己負担限度額がさらに引き下げられます。

さらに自己負担額は世帯内で合算が可能です。(世帯合算)
世帯で複数の方が同じ月に病気やけがをして医療機関で受診した場合や、お一人が複数の医療機関で受診したり、一つの医療機関で入院と外来で受診した場合は、自己負担額は世帯で合算することができ、その合算した額が自己負担限度額を超えた場合は、超えた額が払い戻されます。

ただし、70歳未満の方の合算できる自己負担額は、21,000円以上のものに限られます。70歳以上の方は自己負担額をすべて合算できます。

限度額適用認定証を医療機関へ提出すれば窓口でのお支払いは上限額のみとなりますので便利です。

・傷病手当金(国民健康保険は対象外)

4日目の休業からお給料の2/3の手当が1年6ヶ月間受けられる

休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。病気やけがのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
なお、任意継続被保険者に関しては対象外です。

手当を受けられるのはどのような時か?
病気やケガで働くことができず、会社を連続で3日間休んだ場合、4日目から支給が開始されます。ただし、休業期間について事業主から傷病手当金より多い報酬額の支給があった場合には手当を受けることはできません。

出典:全国健康保険協会HPより

手当はいくら受けられるのか?
休業4日目から日毎に以下の手当が支給されます。

【支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額】(※)÷30日×(2/3)
(支給開始日とは、一番最初に傷病手当金が支給された日のことです。)

(※)支給開始日の以前の期間が12ヵ月に満たない場合は、次のいずれか低い額を使用して計算します。
ア 支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
イ 標準報酬月額の平均額
・28万円:支給開始日が平成31年3月31日までの方
・30万円:支給開始日が平成31年4月1日以降の方

出産一時金

子どもが生まれたときに申請されると「出産育児一時金」として1児につき原則として42万円が支給されます。

まとめ

すでにご加入の公的保険は見直すことができない強制加入の保険です。今後の公的保険の財源云々の見通しはさておき、保障の手厚さは悪くないと思います。特に、民間企業にお勤めの方に置かれましては保険料も労使折半(企業によっては事業主負担の方が多い)です。

現在は、民間の保険での「自助努力」が必要であると叫ばれておりますが、手始めに現状把握をされてはいかがでしょうか?

次回は、その他の公的保険である介護保険・年金制度について触れたいと思います。

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