あなたは生命保険をフル活用できているか

 中小零細企業の経営に関わる皆さんにとっての「万が一」とは、どのようなケースが考えられるでしょうか。おそらく、「社長の身に何かが起きてしまった時」と答える方が最も多いのではないでしょうか。
 データにも、それは如実に現れています。平成28年の調査によると、法人契約で生命保険に加入している中小企業はおよそ73%。平均加入件数は2.1件と、複数の生命保険で万が一の事態に備えていることが分かります。
エフビー教育出版「平成28年 企業経営と生命保険に関する調査」という書籍から出展すべきですが、WEBサイト上ではそれを引用した以下のPDFしか見つかっていません。
http://www.fps-net.com/pdf/dataguide_kigyo_2018_book.pdf

 次に、その加入目的を見てみましょう。

 法人契約を結んでいる中小企業のうち、およそ8割が「社長の死亡退職金・弔慰金の準備」の備えのために生命保険に加入していることが分かります。

あえて言わせてください。これは大変な機会損失です。

 もちろん、社長の身に何かあった時に備えるのは大変重要なことです。しかし生命保険には、万が一の事態に備えると同時に、会社に次々と降りかかるピンチを救うことができ、さらにはお元気でこそ使えるさまざまな活用法があるのです。

 先ほどの「社長の生命保険の加入目的(法人契約)」のグラフで、2位以下の項目をよくご覧ください。

2位:万一に備えた運転資金の確保(42.1%)

3位:社長の勇退退職金の準備(36.5%)

4位:税負担軽減対策 (21.0%)

5位:事業継承金の準備(6.4%)

6位:相続税納税対策・遺産分割資金の準備(4.7%)

7位:返済資金の確保(3.0%)

 法人にとっての生命保険には、「死亡」以外にもこんなに多種多様の使い道があります。もちろん、どれも生命保険を使わなくても対策を取れるものばかりではあります。しかし、万が一の事態に対して備えると同時に、上記の勇退退職金や事業承継資金のような社長が元気に責務を全うしてこそ価値のある用途に使えるのは生命保険ならではの大きなメリットです。もしかしたら、あなたの会社で既に加入している生命保険も、さらなる活用ができるかもしれません!

ではさっそく、どのようなケースで生命保険を活用できるのかを簡単に見ていきましょう。

 生命保険の鉄板!!活用ケースその1.万一に備えた運転資金の確保

 経営者が突然亡くなってしまうと、会社は一気に大ピンチに陥ってしまいがちです。取引先や銀行からの信用を失って取引や融資を止められてしまい、経営難に直面することも考えられます。引き続き事業を継続するために、当面の運転資金を確保する必要があります。

ここでの運転資金には取引先への支払いや従業員の給与、仕入れ代や地代、社会保険料など……考えただけで冷や汗が出そうです。さらにはこれらの優先順位も考えておいた方が良いでしょう。

 そのような時に必要なキャッシュも、生命保険を活用すればスピーディーに用意することが可能です。

 生命保険の意外な活用ケース2.社長の勇退退職金の準備

 経営者・役員の勇退退職金は、退職後の経営者・役員の生活資金として、そしてこれまでの功績に報いるものとして大変重要です。何せよ自分たちで用意しないと退職金はありません。また、経営者や役員に万一のことがあった時、死亡退職金・弔慰金は遺族を支える大事な資金になります。どちらの場合も十分な退職金を支払うとなると、その金額は高額になります。もし準備が不十分だった場合、会社の財務を圧迫する可能性もあります。かといって運転資金や借入金で支払うとなれば、資金繰りに悪影響を及ぼしかねません。

 このようなケースでも、生命保険を有効に使うことができます。法人契約とすることによってリスクに備えながらも賢く退職金の確保ができ、一石二鳥となる活用法がありますさらに使い方によっては一石三鳥です。

 生命保険の意外な活用ケース3.税負担軽減対策

 会社で保険に加入する、つまり法人契約となることで、保険料を経費として計上することができる商品があります結果として利益が圧縮でき、納税額を抑える効果が期待できます。ただし、あくまで生命保険が会社の運営上、必要な分だけ加入することが必須であり、支払継続の可否や出口戦略をしっかりと考えておかなければむしろ財務を圧迫しかねないので注意が必要です。

 生命保険の意外な活用ケース4.事業継承金の準備

 様々なケースが考えられますが、後継者が法定相続人でなかった場合の事業継承にも、生命保険は一役買うことができます。
 株式会社の場合、社長が保有していた株を後継者にしっかりと引き継ぐ必要があります。経営の実権を持つためには、後継者により多くの株を持たせる方が安心ですが、最低でも株の2/3を取得する必要があります。つまり、後継者が2/3の株を買い取るだけの資金を持っていなければ引き継ぐことができないのです。自社株の譲渡には主に売買、贈与、相続という三つの手段がありますが、先代の社長が急に亡くなったケースなどでは売買の手段を取る必要があります。この場合、相続で後継者ではない法定相続人(配偶者・子など)に株が相続されてしまうことはリスクといえるでしょう。その買い取り資金を、実は生命保険で準備することができるのです。

 生命保険の意外な活用ケース5.相続税納税対策・遺産分割資金の準備

 後継者が法定相続人の場合、先代社長の持株相続には相続税が発生します。持ち株評価額が高いと納税負担額が大きくなってしまうのですが、相続税が払えないからといって相続放棄するわけにはいきません。この場合、生命保険に加入して保険料の全部または一部を経費として計上することで、結果として売上を下げ、会社の持ち株評価額を下げることができます。このようにして相続税を抑えることができます。

 生命保険の意外な活用法ケース6.返済資金の確保

 生命保険は帳簿外に資産を貯められる流動性の高い商品という特性も兼ね備えています。

もちろん保険ですから、社長の万が一の際に借入金返済や買掛金返済を迫られた場合には効果抜群です。貯蓄性の高い生命保険に加入していれば、経営上の業績不振による赤字の補填や借入金の返済等にいつでも好きな分だけ解約して、それまで積み立てていた資産を受け取ることができます。また、加入している保険を担保にして生命保険会社から貸付を行う(契約者貸付)ことも可能です。銀行から借り入れをする時のような審査もなく、利息が付きますがなんと返済義務もないのです。生命保険を利用した貸付は、比較的良い条件で使用することができます。

生命保険の解約返戻金や貸付を利用することで、当面の返済資金を確保することも可能になります。

 こんなにも汎用性の高い生命保険。一体なぜ、これらの活用法が広まらないのでしょうか? ここに、保険業界が抱える問題の一つがあるのです。

 なぜ生命保険の効果がフル活用されないのか

 これは、保険の販売店や営業マンの知識のなさからくるものです。生命保険は、毎年多くの新商品が出てきます。同時に、保険・税務を巡る法律も改正されていきます。ですから、その勉強だけでもかなりの分量になってしまいます。
 中小企業経営者向けに生命保険をフル活用するには、保険の知識以外にも、相続、税金、その他金融商品など、さらに膨大な知識をアップデートしていく必要があります。保険の販売店がそのような社員教育をするには相当なコストが掛かりますし、営業マンが個人で勉強し続けるのにも限界があります。そのため、お客さまに本当に必要な情報が行き届かないという現状となっているのです。そんな現状を打破したいと思い、生命保険会社から独立して株式会社プラスを立ち上げました。

 株式会社プラスは、クライアントを中小企業に絞ることで、中小企業経営に関わる生命保険の知識を徹底的に深掘りしています。ほとんどの保険代理店が新規の保険契約を結ぶところをゴールとし、肝心のお客さまへのアフターフォローは二の次になっていますが、弊社のメイン業務はむしろそのアフターフォローです。次々と出てくる新商品の中にお客さまの経営状態やライフプランに適したものがあれば、新しい情報として提案させていただきます。
 次の章では、実際に中小企業の経営者の皆さんがどのような悩みを抱えていらっしゃるのか、そして私たち株式会社プラスがその問題にどのように寄り添っていくのか、具体的に見ていきたいと思います。

>>2章 「困った!」ときにはこう使う!生命保険活用法