おわりに

もうすぐ、保険の営業マンが不要となる時代がやってきます。

正確には、どんな保険に加入すれば良いのかを、営業マンや窓口に相談しなくても事足りる時代がすぐそこまで来ています。2030年以降には、AI(人工知能)が過去の何千・何万という膨大なデータを分析し、お客様に最適な保険を瞬時に選んでくれるようになると考えています。シンギュラリティにより我々を取り巻く環境は加速度的に変化していくのです。

本編でも触れましたが、今までは、保険はどうしても入り口が重視されてきました。従来の保険代理店の報酬形態が、契約を取れば取るほど、その成績が報酬に反映されるようなシステムだったからです。そのため、どうしても新規契約を獲得することに重きが置かれ、その後のことはなおざりにされていました。しかし、そんな保険の入り口をAIが占めようとしているのです。

これは、保険業界全体の構造改革が迫られていることを意味しています。

契約を上げて報酬をアップさせていた時代は終わりました。契約後の保険のアフターフォローを手厚くし、お客さまの財産を増やすお手伝いをすることで、そこから売り上げを伸ばしていく形にシフトチェンジする必要があるのです。

入り口はAIに任せた方が、お客さまにとって簡単に最適な保険を選べるかもしれません。しかし、契約後の個別のお悩み相談や、ライフプランそして会社の経営方針の変更による保険の見直しなどのきめ細かいフォローには、やはり人間が欠かせない存在となるでしょう。そのようなケースで、最近では「IFA」が求められることも増えてきました。

IFAとは、Independent Financial Advisorの頭文字を取ったもので、独立・中立的な立場から資産運用のアドバイスを行う専門家を指します。IFAは特定の金融機関や保険会社に所属せず、さまざまな会社の投資や保険のプランをお客さまに提案します。証券会社や保険会社の方針に左右されることはありません。これからの時代、IFAのように多角的にお客様の「万が一」に備えることが、保険業界では最重要事項になってくるのです。

そんな保険業界の未来を見据え、私は独立して株式会社プラスを立ち上げました。大きく変わりゆく保険業界の冒険の海に、まさに漕ぎ出したところです。

皆さんに安心・安全を保証するために存在する保険業界ですら、大いなる変革を求められる時代です。このスリリングな時代を安心して生き抜くために、本書が中小企業の経営者の皆さんの一助となれれば、こんなに嬉しいことはありません。

昨今の生命保険業界における節税商品販売停止について

とてもリアルタイムですが、本書を執筆しているあいだに、生命保険業界では大きな動きがありました。
2019年2月13日、国税庁が生命保険での過度な節税目的での商品販売の規制に乗り出しました。2017年4月、国内最大手生保が販売を開始したことを発端に各社追従が始まり、競争が激化しました。商品の内容としては、保険料が全額損金となりながらも解約返戻金が8割~9割も貯まるという商品で、尚且つ健康状態の審査がとても簡素という特長がありました。
詳細はまたHP、ブログ等でも触れたいと思いますが、この、節税を意識した保険商品は奇しくも爆発的にヒットし、これにより各保険会社のみならず税理士までもが大いに
提案することになりました。
私もお客さまとお会いする度に、担当の税理士から提案を受けているという話も頻繁に耳にしました。

今回の一件で、法人保険の大半が販売停止を余儀なくされ、保険会社や保険代理店内は慌ただしく、新たな対応を迫られています。
我々プラスはこのようなタイミングで販売をスタートすることに、大きな意味と使命を感じています。
生命保険の本質は「万が一に大きな保障を準備し、経済的に困らないようにすること」です。
生命保険にたくさん加入して節税をするためのものではありません。
目指すべき未来へたどり着くためにはすべて「今」の積み重ねでしかありません。
その「今」をより具体的に把握し、将来に向けて盤石な体制を築くための第一歩が生命保険を考えることなのです。
この件を機に、原則へ立ち返り保険代理店として、株式会社プラスとして皆さまに信頼していただけるような保険事業を行うことを誓います。

2019年3月 後 信也